特集 創生学部を迎えて

創生学部の新設について本年4月に新設された「創生学部」について髙橋姿学長にお話を伺いました。

―本年4月に創生学部が新設されました。創生学部設置の背景について教えてください。

 現代社会には重要課題が山積しています。少子高齢化社会への加速、グローバル化やAI、IoT等に伴う産業や市場の劇的な構造変化、一方で世界的な保護主義の台頭、エネルギー問題と地球温暖化問題、気候変動による大災害、世界規模での感染症拡大、連続するテロや国際紛争等による国際社会の不安定化等々、数え上げればキリがありません。そのような時代背景のなかにおいての創生学部の設置は、これらの課題に対応可能な近未来社会を生き抜く、新大生らしい、タフでありしなやかでもある人材の輩出を際立たせようとする取り組みです。
 大学には、学問分野を深く掘り下げて学ぶ従来型の教育も大切ですが、一方で現代社会の課題を自ら発見して解決できる人材を育成する使命もあると考えています。設置の背景は、一言でいえば近未来社会への対応と言えます。本学にとって37年ぶりの新しい学部の設置となります。

―創生学部の学生は何をどう学ぶのでしょうか。

 カリキュラムは、前述したように自ら課題を発見し、解決する能力の育成を重視して編成されています。従来の学部と異なり、学生が自ら目標を設定し、目標の達成に役立つ22のパッケージ(理・工・農・人文・法・経済学部が提供する専門授業科目群)の中から選んで学ぶ能動的な学修であり、従来にないまったく新しい教育プログラムです。そして、多角的な見地からものごとを「視る力」、さまざまな環境や状況に「適応する力」、専門分野を異にする方々とのプロジェクトを「コーディネートする力」を伸ばすように工夫されています。

―まさに総合大学の強みを生かしたプログラムですね。

 その通りです。本学には既存の学部が有する豊富な教育資源があり、科学技術・文化・芸術・環境・福祉など多様な分野の課題を把握し、解決する力を育てる授業科目群を一貫して提供できます。学生は、学部の垣根を超えて教育資源を活用し、各自の学修到達目標に合わせて、自らの意志で授業科目を選択・履修します。その中で、異なる専門分野を学ぶ学生たちとの交流も生まれ、ものごとを多角的にとらえる視点が醸成されます。また、1年次から4年次まで少人数のゼミ形式の授業を履修し、学年を縦断したグループを組んでの演習も行われます。4年次生になると教員の指導のもと、異なる分野の学生とも議論しながら、一名ないしチームでの課題解決プロジェクトを遂行します。これらを通じて、コミュニケーション能力とプロジェクトを協働して実行する力が養成されます。

―先日、講義をされたそうですが、学生たちの印象をお聞かせください。

 鳴海創生学部長にお願いして、入学早々の4月中旬に講義をやらせてもらいました。入学式から10日も経たない時期なので、創生学部生らしさはこれからですが、講義の最後に質問も活発にあり、頼もしく感じました。質問の中にはカリキュラムに対する苦情もあって、学長に堂々と意見する姿勢に感激しました(笑)。彼らには、創生学部創立の趣旨を忘れることなく、しっかりと学んで、新しい事態にたくましく対応可能な人材になってもらいたいと感じました。

―卒業後の就職の見通しはいかがでしょうか?

 これまでも本学の卒業生は、社会から高い評価をいただいており、幸いなことに毎年多くの求人があります。本学の学生を過去に受け入れた企業等(総件数336件)を対象にアンケート調査を行った結果、創生学部で育成される人材を「採用したいと思う」と回答した企業等は291件(全体のうち86.6%)に及びました。現代の企業等が求める人材の主たる素養の一つに「自分で考えて行動できる人」が挙げられます。創生学部の人材育成プログラムは、まさに企業等のニーズに合致しているといえます。

―全学同窓会に対して要望はございますか?

 創生学部は新設ですので、他学部に比べると社会で活躍されている先輩方からの情報や卒業生との交流で不利な面もあります。学生のキャリア意識形成から進路決定までの支援についてはキャリアセンターを活用できますし、幅広い人間関係を築くには社会貢献や部・サークルの活動も有益です。しかし、卒業後の進路をはじめ、いろいろな局面での意思決定にあたって、先輩方からの助言や激励は大きな意味をもちます。全学同窓会には卒業生と学生が交流する機会についてご支援をお願いいたします。卒業生の皆様には新しい仲間である創生学部を見守り、応援していただけると助かります。

―わかりやすくご説明くださり、理解が深まりました。ありがとうございました。

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