新潟大学の宝「小片コレクション」

熊木 克治
新潟大学名誉教授
前医学部教授(第一解剖学)
  新潟大学医学部(解剖学教室)には故小片保教授(在職1959~1980)が収集、研究された、国内有数の古人骨標本「小片コレクション」があります。旧石器時代人1体を含む、縄文時代人約400体を中心とした弥生、古墳時代人など総数約1800体に及びます。標本収蔵室に足を踏み入れると、時空を越えて、壮大な人類学絵巻の中に飛び込んだような錯覚さえ感じます。
 地元新潟にも数々の縄文人遺跡があります。東蒲原旧上川村の室谷洞窟、佐渡の藤塚貝塚(旧真野町)、堂の貝塚(旧金井町)、三宮貝塚(旧畑野町)で出土しています。 いずれもその埋葬の様式や状態、石鏃などの副葬品、病変、抜歯などの例から、悠久の太古の日本人の風習や生活状況が推定されて興味が尽きません。
 今でも内、外の人類学研究者のメッカとして利用者が絶えません。さらに専門的活用に限らず、開かれた"博物館"としての有効活用が強く望まれるところです。新潟大学のみならず、全人類の文化遺産、宝ともいえる貴重なものを守り、生かしたいものです。
聖岳人骨を手にする小片教授
聖岳人骨を手にする小片教授
昭和37年に大分県聖岳洞穴から発見された人骨は、発掘状況、形態的特徴、フッ素含有量による年代比較検討などから、旧石器時代のものと推定されました。後年、外部から異論も出ましたが、より精度の高い年代測定技術により、将来再評価されるものと思われます。