大学入試センター理事長・新潟県参与
前新潟大学学長 昭和35年医学部卒
荒川 正昭
私が入学した昭和29年、戦前からの木造建築と戦後のプレハブ建築が立ち並ぶ旭町・西大畑キャンパスのなかで、洋風建築の医学部図書館は際立った存在でした。大学・大学院・無給副手時代を通じて、図書館は唯一の情報源であり、通うこと屡々でした。新刊閲覧室、書庫は薄暗く、稍黴臭かったのですが、その雰囲気は若い知的好奇心をかきたてました。また、雲上人であった教授の方々の傍で新刊を読むことは、興味以上に緊張感の連続でした。パソコン画面で全てを知りうる今でも図書館が存在するのは、それなりの理由がある筈です。温故知新、先達の苦悩の道を辿ることも新しい道を切り開く第一歩であります。