特集 自然科学系3学部(理・工・農)の改組から一年

理学部新しい理学部、順調な経過

理学部長 前野 貢

 理学部は、2017年度から、1学科7主専攻プログラム(数学プログラム、物理学プログラム、化学プログラム、生物学プログラム、地質科学プログラム、自然環境科学プログラム、フィールド人材育成プログラム)で新たなスタートを切りました。1学科となった新理学部では、入学後1年半の間、学生は、志望する専門分野にかかわらず6つのクラスに配属され、理学の共通教育を学びます。

 新体制2年目の今年度、2年生は夏休み以降にプログラム選択を行います。改組の計画中に1学科制の導入を高校に説明に伺ったときに、進路指導の先生方から出た懸念のひとつに、学生が入学後に、希望している専門分野のプログラムに進学できないのではないかという点がありました。しかし、実際に今年の2年生に対して志望プログラムのアンケートを取った結果、各プログラムへの進学希望者数はそれぞれの受入れ上限数の範囲に概ね収まっていることがわかりました。各プログラムでは、従来の学科の学生定員数を大幅に上回る受け入れができるように、準備をしてきました。また事前に何度か学生の志望調査をおこない、各クラス内で進路指導をおこなってきたことで、学生にプログラム選択のための判断材料が十分に提供されたのではないかと推測しております。

 現在の理学部は、もはや半数の学生さんが理学科所属になり、新たな学部の風土が作られつつあります。後輩たちは先輩たちの状況を見てその影響を大きく受けますので、卒業生がどのような進路を選択するのかは非常に重要です。まずは、新理学部の第1期生が、それぞれが思い描く学生生活を満喫し、希望する進学・就職先に進めるように、教員・職員が一丸となって取り組んでいく所存です。

※図をクリックすると拡大します

工学部新しい工学部の2年目を迎えて

工学部長 小椋 一夫

 工学部は伝統的な工学を力学、情報電子、化学材料及び建築の工学系4分野に再編し、新たに文理の枠を超えた融合領域分野を加えた1学科体制としております。「情報」と「融合」を核として定員は50名増やし530名としました。改組して2年目の今年度は、550名の新入生が工学科1年生としてスタートしています。そして昨年度の入学生は2年生となり、工学系プログラムと分野横断型プログラムへと進み、それぞれの専門分野の学びがスタートしました。新しい工学部は2年目に入り、学生諸君は活発であり定員増加とも相まって、これまで以上に活気あふれる教育現場となったことを実感しております。

 また新たな実践的課題解決型の融合的教育として「学生寮」に先輩、後輩が集うようにチームを結成し研究活動に勤しむ場である「ドミトリー型教育」を開発しております。この「ドミトリー型教育」に基づいたスマート・ドミトリー・クラスを設け「出る杭を伸ばす工学教育」を展開しています。そして国際性を高めるため、大学の世界展開力強化事業「メコン諸国と連携した地域協働・ドミトリー型融合教育による理工系人材育成(略称:GDRAM、本紙5頁を参照)」により、メコン諸国の著名4大学の学生と本学学生でチームを結成し、新潟地域企業と連携した「ドミトリー型教育」を開始しています。新たな教育に積極的に取り組むと同時に、地域およびアジア諸国と連携しながら国際的な教育を展開しています。

図 工学部工学科

農学部学生の希望するプログラムの選択へ

農学部長 末吉 邦

 農学は「生命」・「食料」・「環境」を支える総合科学です。新潟大学農学部は、平成29年度より1学科体制になりました。農学科の中に時代の要請に合わせた5つの主専攻プログラムを設けて専門的な教育を行い、地域や社会が抱える諸問題を多角的視野から捉え、具体的な解決策を提言でき、広く国内外で活躍できる人材を養成します。
主専攻プログラムには、新潟の代表的な産業である食品分野の教育研究と人材育成に特化した「食品科学プログラム」、農学分野の教育研究の柱である「生命」・「食料」・「環境」に明確に対応した「応用生命科学プログラム」・「生物資源科学プログラム」・「流域環境学プログラム」、さらに、環境保全や災害・復興対策等の分野で活躍できる人材の育成を目的として、理学部と連携した「フィールド科学人材育成プログラム」があります。
学生は入学して2年次の第1学期までは教養科目の学びを主にしつつ、農学に関わる基本的知識を幅広く修得するために「農学入門」、「基礎農林学実習」等の農学部共通基礎科目を受講します。その後、2年次第2学期から5つの主専攻プログラムに分かれ、各分野における専門的な教育を受けます。現在の2年次生は、いよいよ今年9月には主専攻プログラムに所属することになります。分属先は、本人の志望と成績により決定しますが、学生がより良いプログラム選択を出来るよう、各プログラムの内容を紹介するイベントをすでに数回開催しました。

「農学入門」の講義風景

主専攻プログラムの紹介イベントの様子

創生学部二年目の学生を迎えて

創生学部長 鳴海 敬倫

 創生学部が発足後、1年が経ち、4月に二期生72名が入学しました。
2年生になった一期生は、領域学修を開始しています。領域学修とは、理、工、農、人文、法、経済の各学部の主専攻プログラムが提供する専門科目のパッケージであり、学生は22のパッケージから一つを選び、それぞれの学部で開講されている専門に関する科目を履修します。総合大学の強みを活かし、全学の教育資源を活用することによる新しい教育体制で、専門教育を受けています。同時に、創生学部の特徴であるリテラシー応用などの課題解決に資する多面的な視点からの学修も受けています。また、昨年度は1学年だけでしたが、今年度は、1、2年生が協働して課題解決を考える基礎ゼミを完全な形で実施できるようになりました。それぞれの学年での到達目標を意識して、異学年協働のグループワークを実施しました。全24グループが、それぞれのテーマについてまとめ、7月27日にはポスターセッション方式の発表会を実施し、学年を越えて活発な議論が行われました(図1参照)。
また、新1年生は、第2タームに実施しているフィールドスタディーズ(学外学修)を履修し、4週間の学外での学修成果をまとめ、7月31日と8月1日に最終発表会を行いました。昨年同様、学生間の活発な質疑応答が行われ、企業、自治体などのフィールド先の社会人や学長はじめ学内の皆様も一部ご参加下さり、好評いただきました(図2参照)。

図1 基礎ゼミの発表会風景

図2 フィールドスタディーズ(学外学修)の発表会風景